中小企業の経営者や上司の皆さん、こんな悩みを抱えていませんか?「部下がなかなか育たない」「理由も言わず突然辞めてしまう」――せっかく時間と労力をかけて育成したのに、離職されるたびにどれだけ無力感を感じるか、私にも痛いほどわかります。でも、もしかしたらその原因は「リーダーシップ」だけを重視しているからかもしれません。実は、社員の成長や離職防止には「レジリエンス(逆境に負けない力)」が不可欠です。
私自身、高校のカリキュラム運営や中小企業向けの人材育成塾「Next Leaders College(NLC)」を主催し、全国で保健業界や介護業界を中心に講演活動を行っています。これまで多くの企業や学校で人材育成に携わる中で、痛感しているのは、どんなにリーダーシップを教えても、それを支えるレジリエンスがなければ、社員や生徒の長期的な成長や離職防止は非常に難しいということです。
目次
レジリエンスがなぜ重要なのか?
企業で人材を育成するにはリーダーシップが必要だとよく言われますが、それだけでは不十分です。社員がストレスや失敗に打ち勝つ「レジリエンス」を持っていないと、どんなに優秀な人材でもいずれ燃え尽き、最終的には退職してしまうことがあります。特に中小企業にとっては、限られたリソースで社員一人ひとりの成長を支える必要があります。だからこそ、逆境に立ち向かい、それを成長の糧にできるレジリエンスが欠かせないのです。
■参考記事:レジリエンスとは?
リーダーシップとレジリエンスの関係
リーダーシップがチームを導き成果を出すためのスキルである一方、レジリエンスはそのリーダーシップを発揮するための土台です。プロジェクトが失敗したとき、レジリエンスがあれば、その失敗を糧にして次に進むことができますが、レジリエンスがなければ、ストレスに押しつぶされ、モチベーションが下がってしまうでしょう。
私が主催するNLCでも、リーダーシップとレジリエンスの両方をバランスよく教えていますが、その根底にあるのは、社員や生徒が失敗を成長のステップと捉える力です。これがあることで、リーダーシップを持つ社員も、困難な状況でも冷静に対処し、チーム全体を支えることができるようになります。
レジリエンスが離職防止にどう貢献するのか?
レジリエンスを持つ社員は、困難な状況でも自分を立て直し、再び前進する力を持っています。短期間で燃え尽きることなく、長期的に企業に貢献できる人材へと成長していきます。
さらに、レジリエンスがある環境では、失敗やミスを「学びの機会」として捉え、社員同士が支え合う文化が自然と生まれます。これにより、社員が孤立せず、プレッシャーやストレスに打ち勝って前向きに働くことができるのです。その結果、離職率は自然と低下し、組織全体が安定します。
レジリエンスを育てるための具体的な方法

では、実際にどうやってレジリエンスを育てればいいのでしょうか?ここでは、中小企業の経営者や上司が実践できるレジリエンス育成の具体的な方法を紹介します。
1. 建設的なフィードバックを活用する
レジリエンスを育てるためには、失敗やミスをした際に建設的なフィードバックを与えることが大切です。単に叱るのではなく、「次にどうすれば良くなるか」を共に考える姿勢が求められます。これにより、社員は失敗から学び、次のステップに進むことができ、精神的にも安定して成長します。
2. 社内のサポート体制を強化する
社員が困難な状況に陥った時に、安心して助けを求められる環境を整えることも重要です。柔軟な労働環境やメンタルヘルスサポートを提供し、社員が心身ともに健康で働ける体制を整えることで、社員はストレスを抱え込まずに問題に取り組むことができます。
3. チームの結束を強める
レジリエンスは個人の能力だけでなく、チーム全体で支え合うことで強化されます。定期的なコミュニケーションの場やチームビルディングイベントを通じて、社員同士の信頼関係を深め、困難な状況でも一体となって乗り越える力が生まれます。
4. 成長の機会を提供する
社員が成長し続けるためには、自ら学び、挑戦する機会が必要です。研修や勉強会を積極的に導入し、社員が新しいスキルや知識を身につけることで、変化に柔軟に対応できる力を養います。これにより、社員は前向きな姿勢を持ち続け、困難を乗り越えることができます。
体験から得たエンターテイメント性のある教育
私が主催するNLCでは、座学だけでなく、グループワークや実際に身体を動かして学ぶ体験型の研修を行っています。これにより、生徒たちはただ「学ぶ」という受け身の状態から、主体的に行動し、互いに協力し合う力を身につけています。学びが「楽しい」と感じられる場で、次第に生徒たちの目の色が変わっていくのを目の当たりにします。
また、高校での授業でも、「学校がつまらない」と感じていた生徒たちが、私の授業を通じて「将来は学校の先生になりたい」「人に喜ばれる人になりたい」と新たな目標を持つようになったことが何度もありました。中には、赤点ばかりだった生徒が「勉強して大学に入りたい」とまで意識を変え、担任の先生が驚くほど成長した事例もあります。
まとめ:リーダーシップに加え、まずはレジリエンスを学ぶことが人材育成の鍵
リーダーシップは重要ですが、それを支えるレジリエンスがなければ、社員や生徒の成長は限られたものになってしまいます。逆境に立ち向かい、そこから学び、前進できる力――それがレジリエンスです。これは単なる能力ではなく、組織全体を支える力となり、社員が安心して活躍できる環境を作り、結果的に離職を防ぎます。
リーダーシップとレジリエンスのバランスを取り、企業全体の成長を促進するために、まずはレジリエンスの育成に取り組んでみてはいかがでしょうか?これこそが、あなたの組織にとっての次のステップです。